長谷川夕先生の小説『僕は君を殺せない』を久しぶりに読んだ。
確か、最初に手に取った理由は裏表紙に書いてあった、
“問題:だれが「僕」で、だれが「君」でしょう?”
っていう一文に惹かれたからだった気がする。
あー、そういう感じね。話が進むにつれて「僕」と「君」が明かされていって度肝抜かれる的な。
はーい。読みまーす。
って当時思った気がする。
こんな人にオススメ↓
微ホラーミステリーが好き ★★★★
ほの暗い雰囲気を味わいたい ★★★★★
少々の愛も感じたい ★★★
ざっくりあらすじ
夏休みに参加したミステリーツアーで起きた凄惨な殺人事件に巻き込まれた「おれ」。
最近周りで葬式が相次いでいる「僕」。
2人の少年は何の接点もなかったはずなのに思いがけず交じり合ってしまう。
そしてすべては廃遊園地に出るという幼女の幽霊から始まっているのだった。
登場人物
僕・・・多分位置づけ的に主人公。最近周囲で人が死ぬ。彼女がいる。
おれ・・・クラスメートの代わりにミステリーツアーに参加する高校生。
レイ・・・「僕」の彼女。
感想
「おれ」と「僕」の2人の視点(独白?)の微ホラーミステリー。
「おれ」視点での謎が「僕」視点に時に明らかになったりする。
最後の最後でどんでん返し!みたいな感じというより小出し小出しで伏線が回収されていくのすいすい読めた。
というか、クラスメートの代わりにミステリーツアーに参加するのは金田一少年くらいだと思ってたけど、ここにもいた。
わりとよくある話なのかもしれない。
そのミステリーツアーも金田一少年の事件簿を彷彿とさせるような展開だった。
まあ解決してくれるような名探偵は参加してなかったのでただただ殺されていくばかりだったけど。
殺人鬼がいる。自分も殺されるかもしれない。でもここからの脱出は容易じゃない。
みたいな、雰囲気は好きだった。
アガサ・クリスティーの『そして誰もいなくなった』みたいな感じもあった。
‟微”ホラーミステリーって思ったのは「おれ」視点だとホラーでミステリーだけど「僕」視点だとホラーでもミステリーでもなかったからかな。
それもまた面白かった。
ちなみに「僕」にはレイっていう彼女がいるけど甘々な感じはない。
切なくはあった。というか悲しい。つらい。
でも「僕」とレイの日常のやりとりは物語の中で唯一と言っていいくらい普通で、だからこそ狂気的な殺人事件との落差を感じた。
全体的にさらっと読めて、裏表紙のあらすじに『二度読み必至』って書いてあったけど二度読みする必要性は感じなかった(笑)
え、私が理解してないだけ?
ちなみに最初に思った「度肝抜かれる」感じもそんなになかったかな。
というか、長谷川先生自体は初めから「読者の度肝を抜いてやろう!」って思ってないわ。
私が勝手にそう思っただけでした。
最後に
あ、そうそう。
表題とは関係ない話が2つ収録されててちょっとびっくり。
てか、表題作も170ページくらいで終わったから長編ではないのかな?
長編の定義ってよく知らないんだけど。
では。